令和6年新春座談会‐レポートVol.01

令和6年1月1日(月)に「令和6年新春座談会」の動画を公開いたしましたが、ご覧くださいましたでしょうか。
東北の未来を真剣に考え行動する方々から非常に熱いお話をいただき、改めて東北の可能性を感じました。

このDXマガジンでは、座談会の要約を連載形式でレポートいたします。

第一回目は、第一部の少子高齢化をどう捉えているか、またこの先直面する問題についてです。
世界二位の高齢化率である日本の中で、最も高齢化が進む東北。この事実をどう解釈するのか、そしてこの先直面する問題にはどのようなものがあるのかについて語っていただきました。


新春座談会動画

「座談会を全編見たい」という方はYouTubeの動画もご用意していますので、ぜひご覧ください!


YouTubeの動画説明欄にはプログラムの目次とリンクを掲載しておりますので、お好きな箇所からご視聴頂けます。

YouTubeで見る

登壇者

  • 経済産業省東北経済産業局 戸邉千広局長
  • 総務省東北総合通信局 中沢淳一局長
  • 株式会社MAKOTO Prime 竹井智宏代表取締役
  • 一般社団法人宮城県情報サービス産業協会(MISA)会長および 一般社団法人DX NEXT TOHOKU(DNT)代表理事 阿部嘉男
  • 一般社団法人DX NEXT TOHOKU理事 寺田耕也
  • 宮城県 村井嘉浩知事(ビデオ出演)
  • 仙台市 郡和子市長(ビデオ出演)
  • 東北経済連合会 増子次郎会長(ビデオ出演)
  • MISA監事および DNT理事兼事務局長 淡路義和(ファシリテーター)

新春座談会のタイムライン

座談会は、次の流れで進行しました。
1. 【第一部】少子高齢化の捉え方とこの先直面する問題とは
2. 【第二部】豊かで幸せな未来を創り次世代に繋ぐために必要なものとは
3. 決意表明とDNTの思い

事項より、当日の内容をレポートします。

東北は少子高齢化の最先端地域

淡路義和(MISA監事および DNT理事兼事務局長) : 日本は現在、65歳以上の人口比率、即ち高齢化率がモナコについで世界第2位となっております。
モナコの高齢化率は35.92%、日本は29.92%、次いでイタリア24.05%、フィンランド23.27%となっています。

2022年の日本国内都道府県別の高齢化率を見ると、秋田がダントツ1位で38.6%となっており、10位以内に東北6県中4県が含まれてるという現状でございます。
また、2045年の高齢化率予測では、なんと1位〜5位までは東北5県が占め、1位の秋田はなんと高齢化率が50.1%と、2人に1人が高齢者になる見込みでございます。

そこで皆さんに質問なんですけれども、これらの事実をどのように解釈されているかというのと、現在既に直面している、もしくはこの先の未来に直面するであろうという問題はどんなものがあるのでしょうか。

地域の特性に合わせた対応が必要

戸邉千広氏(経済産業省東北経済産業局局長):やはりこの少子高齢化の流れはなかなか変えることは難しいと思います。地域・エリアごとの人口の増減は大きく変わりますし、今日は特に社会増減(人の転入・転出)にフォーカスして述べたいと思います。

まず宮城県は、東北5県から転入して、一方で首都圏・東京圏へ転出する。進学で転入して就職で転出するという特徴ですね。
一方、秋田県は、首都圏・東京圏、それから東北の中でもやっぱり宮城県への転出が大きい。
その一方で着目すべきところは、中年の段階で転入してきている人が多くはないものの、いるということです。

もう少しミクロで見ると、仙台市は進学で転入して就職で転出するというのが顕著なんですけれども、秋田市は、学生の時に出て行ってしまうんですけれど、実は30~40代で転出程多くはないんですけれど転入超過している。
それから岩手県北上市は、工場が結構進出していますので、学生の時は転出しちゃうんですけれど、20代から転入超過が特に高いという特徴がみられます。
こういった、エリアごとの特徴を踏まえて色々対応を考えていく必要があるのかなと思います。

政府は、岸田内閣のもと、投資・生産性向上・所得の三つの好循環の実現に向けて取り組んできております。
そういう中で、省力化・省人化の投資を促進していくと、補正予算で3,300億円といった措置を取っておりますけれども、そういった中でやっぱりDXというのも非常に大きなウェイトを占めると思っております。また先ほどの地元地域での雇用の場の確保であるとか、転出した人とのつながりの維持とか、そういった意味でのDXが果たす役割は非常に大きいのではないかな、と思っております。

デジタルの力によってイノベーションを起こしていくチャンス

中沢淳一氏(総務省東北総合通信局局長): 東北6県の県別の高齢化率の数値はそのとおり。人口減少と考え合わせれば、労働力人口が減少していくというのは皆さんご認識のとおりでございまして、産業分野で言いましたら、後継者の不足でありますとか、熟練者の技術伝承が難しくなっていくといった問題をはらんでいると思います。これは、地域を支える担い手が少なくなっていくという、場合によってはその地域の暮らしとか社会そのものの存続にも関わるような課題なのだと思っています。
ただ、こういう状況自体を変えていくことは容易ではありませんので、まずやるべきことは、こうしたことへの問題意識や危機感を共有して、実際の行動に移していくことと思います。 東北総合通信局の立場としては、テクノロジー、デジタル技術ですとかICTといったものの力をフルに生かしていかなければならないと思っています。

仕事をお持ちの高齢者の割合(高齢者の有業率)というものが「就業構造基本調査」で出ておりまして、日本全体で見ると、主要国の中でも高い水準で25.2%で、これは韓国に次いで2位です。 男性の高齢者就業率でみると、山形、福島、岩手の3県が全国で4、5、6位というような位置になっているということで、非常に高齢者の有業率が高いというのが東北の特徴でもあるのかもしれません。それぞれの事業があるとは思いますけれども、東北に限らず、日本には働く意欲のある高齢者がたくさんいらっしゃるっていうことを表しているんではないかと思っております。 ですので、こういった高齢者の方々がより働きやすく、働く意欲をもって、生きがいのある生活を送っていただけるようにするといったことも望まれるわけで、そのためにも、デジタル化やICTが貢献できるんじゃないかなと思っております。

現在、政府に於きましては「Society5.0」と現代社会を定義して、ネットワーク上の空間と現実の空間を融合させて、IoTやAIといったデジタル技術を実社会に連携いたしまして、いろんな知識や情報が共有されたり、新たな価値が生み出されていくといった社会を定義して進めているということでございまして。
また、「デジタル田園都市国家構想」ということで、「誰一人残されずすべての人がデジタル化のメリットを享受できる」、そういった社会の実現を目指しているということで、地域の課題解決に向けた取り組みを加速していかなければいけない状況なんだろうと思っております。
先ほど申し上げたように、高齢化に伴う労働力人口が減少していくっていう危機感は共有しつつも、デジタルの力によって課題解決に向けて関係者が力を合わせて、新しい価値の創造でありますとか、社会変革に取り組むべき時なんだろうと思っております。
決して後ろ向きにだけ捉えるのではなくて、イノベーションを起こしていくチャンスでもあると捉えてもいいのではないかな、と私自身は思っております。


産業の幅広い分野に深刻な影響が懸念される

村井嘉浩氏(宮城県知事): 私が知事に就任した平成17年の国勢調査で、宮城県の人口が初めて減少に転じました。その時点で人口減少がさらに進展することは明白でしたので、将来を見据えた様々な対策を早め早めに打っていくことが重要だと考えてきました。
約20年後の令和27年には、東北全体の人口は28%減少し、なんと大正14年当時の人口と同じ規模になり、宮城県でも昭和45年当時の人口と同じ規模になるまで減少する見込みです。
行政分野においては、税収や職員が減りますが、行政サービスを低下させるわけにはいきませんので、対応が困難になってまいります。
また、産業分野においても、人口減少や少子高齢化の影響によって消費が減り、特に第3次産業の割合が高い本県においては、景気や経済が激しく落ち込むことが危惧されます。
生産年齢人口の減少は、産業の衰退や地域の担い手不足など、幅広い分野に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。

地域ごとの多様な課題をきめ細やかに対応

郡和子氏(仙台市長): 本市の人口は、近い将来にピークを迎えた後、ゆるやかに減少を続け、2060年までには100万人を割り込む見込みとなっております。
一方で、現在でも高齢者人口の割合は高まり、生産年齢人口の割合も減少しているなど、人口構成は、ゆるやかながら着実な流れとして変化しております。
人口100万を有する本市ですが、市内には都心部のほか、古くからの山間集落や昭和40年代以降に開発された住宅地など、さまざま歴史と特色ある地域から構成されており、地域ごとの人口減少の進み方が一様ではないために、それぞれの地域性・地域特性に合わせた対応が必要になってまいります。
潜在的な物も含め、地域ごとの多様な課題に対して、いかにきめ細かに対応し、暮らしやすい地域社会を維持していけるかという点が、本市が直面する課題であると考えています。

まとめ

第1回目のレポートは以上です。いかがでしたでしょうか? 国、県、市の視点から少子高齢化の課題をお聞きしました。 次回は、引き続き少子高齢化をどう捉えているか、またこの先直面する問題について、業界団体・企業の視点でお聞きした内容をお届けいたします。

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