こんにちは、ウェブ・マーケティングディレクターの清水です。
種種様々なデジタルツールで溢れていて、それらを無料あるいは安価でお試しもできる昨今ですが、「そもそもどんなツールがあるのか分からない」「どう選んでよいか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、DXに役立つデジタルツールの種類と、自社に合ったツールの選び方を、独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供する2つのサービス「IT戦略ナビ」「ここからアプリ」とともにご紹介いたします。
デジタルツールとは
デジタルツールとは、デジタル技術を活用したツール全般を指します。
パソコンにインストールして利用するソフトウェア/アプリケーションや、インターネットを介して提供されるSaaSと呼ばれるクラウドベースのソフトウェア、モノのインターネットであるIoT、スマートフォンに代表されるスマートデバイス等、ソフトウェアとハードウェアのそれぞれにデジタルツールが存在します。
名称もデジタルツールのほかにも、ウェブサービス、ITソリューションと呼ばれたり、最近ではDXツールと呼ばれる場合もあるようです。
日常使いのIoT機器などはガジェットと呼ばれる事もありますね。
色々と呼び名があるデジタルツールですが、今回はビジネスに活用でき、DXに役立つツールの種類と、目的に応じた選び方をご紹介します。
デジタルツールのカテゴリとツールの種類
IT戦略ナビを使ったツールの方向性決め
まず、デジタルツールにはどんな種類のものがあるのかを見ていきましょう。
今回は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が提供しているサービス「IT戦略ナビ」を活用して、自社のビジネスに合ったカテゴリの調べ方をご紹介します。
IT戦略ナビは、質問に回答していく事で、「自社に合ったITソリューション」を選定でき、最終的にIT戦略のためのロジックツリー(IT戦略マップ)の作成や、導入の計画も作成できるサービスです。
ここで言う「ITソリューション」には、デジタルツールも含まれていますし、「ホームページ刷新(採用強化)」といった「施策」も含まれてます。
そのため、IT戦略ナビで紹介しているのは厳密にはデジタルツールのみではないのですが、とても分かりやすいカテゴリー分類がされているのでこの記事で取り上げています。
このように、IT戦略ナビは、自社に合ったITソリューション・デジタルツールの選定ができ、ロジックツリーや導入プランによって、ツール導入の目的やスケジュールを論理的に考えられるのが特徴です。
デジタルツールのカテゴリーと種類を知る
もうひとつ、このサービスの良い所は、デジタルツールの一覧が、カテゴリに分かれて紹介されている事です。
この一覧は「ITソリューションのご紹介」というページで確認できます。
このページには、カテゴリー別に、様々なツールが紹介されています。これらのツールはカテゴリー別だけではなく、業種別に絞り込む事もできます。
このページをチェックする事で、「そもそもデジタルツールにはどのようなものがあるのか」を知る事ができるため、「このツールを使えば、こんな事ができそう」といった課題解決のヒントが得られるかも知れません。
IT戦略ナビで紹介されているデジタルツールのカテゴリとツールの種類は、次のセクションでご紹介します。
眺めるだけでも発想の引き出しが増えるはず、です。
顧客対応・販売支援
「顧客対応・販売支援」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
---|---|
顧客管理システム・CRM | 顧客情報とリレーション履歴をデータ化して一元的に管理するシステムです。 |
CTIシステム | 顧客や取引先からの電話対応を記録・管理し、作業の効率化・電話応対サービスの品質を強化するシステムです。 |
ホームページ機能追加(ECサイト・WEB注文サービス等) | ECサイト・WEB注文の機能を追加することで、インターネット上で24時間注文を受け付けることができます。 |
インターネット広告・MAツール | インターネット媒体に出稿し、見込み客や潜在顧客へ効率的にアプローチできます。 |
SNS | ソーシャルメディアを活用して、商品の認知やブランド力向上を実現することができます。 |
予約管理システム | 電話もインターネットも、店舗における予約情報を一元管理できるシステムです。 |
オーダーエントリーシステム・モバイルオーダーアプリ | オーダー管理をデータ化し、店舗運営を効率化できます。 |
名刺管理システム | 社員がいただいた名刺をデータ化して、会社の財産として活用するシステムです。 |
宅配(デリバリー)システム | お店の料理をお客様指定の場所へ届ける支援システムです。 |
デジタルサイネージ | 屋外や店頭、店内に設置されたディスプレイを活用して情報配信を行います。 |
営業支援システム・SFA | 営業活動を記録・可視化し、組織的かつ効率の良い営業活動を支援するシステムです。 |
ポイントカード管理システム | 飲食店や小売店、ECサイトなどで商品の購入時に付与されるポイントを顧客毎に管理するシステムです。 |
決済・債権債務・資金回収管理
「決済・債権債務・資金回収管理」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
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キャッシュレス決済 | クレジットカード、電子マネー、スマホ決済など様々な決済に対応できます。 |
販売管理システム | 受注から代金回収の販売一連業務を管理するシステムです。 |
POSレジ | 店舗におけるリアルタイムの販売実績・売上管理を実現することができます。 |
電子契約システム | 紙の代わりにパソコンで契約データをやりとりして、脱・ハンコを推進するシステムです。 |
会計・財務・資産・経営管理
「会計・財務・資産・経営管理」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
---|---|
会計システム | 帳簿類や決算書、キャッシュフローデータの自動作成など財務会計業務を効率化できるシステムです。 |
経費精算システム | 交通費や仮払経費などの経費精算を自動化し、申請から承認までを効率化できるシステムです。 |
人材配置
「人材配置」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
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シフト管理システム | シフトの申請・管理を行い、簡単に適切な人員計画を立てることができるシステムです。 |
求人インターネット広告 | インターネット上の求人媒体(求人サイト)によって用意された有料の広告枠を買い、求人掲載を行います。 |
総務・人事・給与・労務・ITインフラ
「総務・人事・給与・労務・ITインフラ」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
---|---|
勤怠管理システム | 出退勤記録や残業時間、休暇の取得記録などの勤怠情報を一元管理できるシステムです。 |
給与計算システム | 従業員の勤怠情報と雇用情報から自動で給与計算ができるシステムです。 |
オンラインストレージ・リモートアクセスツール | 自宅や外出先からでも場所を選ばず情報を共有して、社内にいる時と同じ仕事ができるツールです。 |
人材管理システム | 従業員の採用、配置、評価などから人材確保や能力開発を戦略的に進めるシステムです。 |
e-ラーニング・LMS | PC・スマートフォン等で、時間と場所にとらわれずに個人のペースで学習できる仕組みです。 |
セキュリティ対策ツール | セキュリティはやぶられるという想定の元、リスク対策を万全にするツールです。 |
ホームページ刷新(採用強化) | 採用サイトや求人ページを訪問・閲覧してもらい、求職者からの応募や問い合わせに対応します。 |
調達・供給在庫・物流
「調達・供給在庫・物流」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
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物流管理システム | 工場で生産された製品や仕入した商品を、保管してから顧客へ届けるまでの物流工程の管理を支援します。 |
在庫管理システム | 入出庫を正確に管理し、タイムリーに在庫数を可視化するシステムです。 |
発注仕入(購買)管理システム | 調達・購買に関する 発注から代金支払までの一連業務を管理します。 |
自動化・分析プロセス
「自動化・分析プロセス」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
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AI(画像認識) | 画像から人やモノの状態の見極めが可能となり、生産性や品質を高めます。 |
BIツール | 蓄積したデータを分割・比較し、事実確認と仮説発見により、業務に活かす仕組みです。 |
チャットボット(自動応答) | WEBやアプリ上でロボットとの対話により、顧客と気軽にコミュニケーションをおこなえます。 |
RPA | 事務作業などPCを使う定型的で繰り返し行う作業を担当者が自動化できるツールです。 |
OCR/AI-OCR | 紙の帳票や手書き文書の文字を読み取り、AI技術で高精度にデジタルデータ化できます。 |
AI(音声認識) | 音声を認識し、デジタル化を可能とします。声でデータ入力やシステムへの指示ができます。 |
IoT(センサー) | あらゆるモノや環境からデータを取得する仕組みです。 |
ドローン | 空中から映像や画像を取得し、センサーなどでデータ採取も可能とします。 |
汎用プロセス
「汎用プロセス」のためのデジタルツールには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
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オンライン会議・セミナーツール | どこからでも会議やセミナーに参加し、映像と音声でのコミュニケーションができるツールです。 |
WEBアンケート作成システム | インターネット上でアンケート調査を行うのに必要な機能を備えたシステムです。 |
グループウェア | コラボレーション(協働)によって相乗効果を発揮するツールです。 |
動画・オンラインマニュアルツール | 写真や動画を活用し、伝わりやすいマニュアルをオンライン上で作成・共有できるツールです。 |
社内SNS・ビジネスチャットツール | リアルタイムに仕事のメッセージをやり取りし、社内コミュニケーションを活性化するツールです。 |
ワークフローシステム | 稟議書、報告書、届出書などの承認手続きを電子化・見える化できます。 |
ノーコード・ローコードアプリ | プログラムコードを記述(コーディング)することなく、画面設計のみでアプリを開発できるツールです。 |
業種固有
利用される業種が特定のものに限定されるツールもありますが、それらには次のようなものがあります。
種類 | 説明 |
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VR/AR 内見・内覧システム | バーチャル技術により離れた場所からでもリアルに近い内見・内覧を体験できる仕組みです。 |
MD(マーチャンダイジング)システム | 複数店舗で多種類な商品の売買を支援する流通システムです。 |
商圏分析システム | 商圏の様々なデータを定量的に分析し、販売戦略や店舗開発に活用できます。 |
PMS(ホテルシステム) | ホテル・旅館の宿泊管理や施設運営の情報を効率的に共有・管理するシステムです。 |
工事管理システム | 工事案件ごとにデータを一元管理することで、納期通りかつ予算範囲内の進行を支援するシステムです。 |
生産管理システム | 生産工程で生成される情報を統合的に管理し、品質・コスト・納期(QCD)を高めるシステムです。 |
3Dプリンタ | デジタルデータから立体の造形物を直接作り出す装置です。 |
配車支援・計画システム | 受注情報(荷物)を車両(ドライバー)に効率的に割り当てるシステムです。 |
需要予測システム | 過去の実績データや関連するデータから、未来の需要を予測するシステムです。 |
デジタルタコグラフ | 車両運転時の走行速度・走行時間・走行距離等を記録できる車載機器です。 |
運行管理システム | 運送業務データを一元管理し、帳票作成等の事務作業を効率化します。 |
レシピ管理システム | レシピや食材の情報を管理するシステムです。 |
送迎バス管理システム | 送迎サービスを行う事業者が送迎バスの車両管理や運行確認が行えるシステムです。 |
物件登録・賃貸管理システム | 不動産物件のデータ登録や更新を行い、多くの物件を管理可能にするシステムです。 |
介護保険請求システム | 複雑な介護保険請求業務を効率化できます。 |
電子カルテシステム | 紙のカルテに書いていた情報をパソコンやモバイル端末で入力・管理できるようにした仕組みです。 |
介護記録システム | 介護記録をデジタル化し、利用者情報をリアルタイムで共有できます。 |
サイトコントローラー | 複数の宿泊予約サイトの情報を一括管理することができます。 |
見守りシステム | 介護サービス利用者や保育園の乳幼児等を安心・安全に見守る仕組みです。 |
それぞれのツールの詳細は、「ITソリューションのご紹介」のページをご覧ください。
具体的なデジタルツールの選び方
ここからアプリを使いDXに役立つツールを探す
IT戦略ナビを活用して、自社に合ったデジタルツールの種類を理解した後は、具体的なツール選定に入ります。
ツールの選定には、IT戦略ナビと同じく中小機構が提供している「ここからアプリ」というサービスを利用します。
「ここからアプリ」では、小規模事業者や中小企業向けに、生産性向上につながる、使いやすく導入しやすいビジネス向けのデジタルツールが登録されていて、業種や目的等に応じて絞り込み検索ができるサービスです。
200以上のツールから目的に合ったものを選ぶ
「ここからアプリ」のメイン機能のひとつが、「アプリ検索」です。
これは、ここからアプリに登録されている200以上のツールを、キーワードや業種、目的別といった条件で絞り込み検索ができるというものです。
「目的」の条件も、大項目と小項目に分けられていて、より詳細な目的別にツ―ルを探す事ができます。
検索結果に表示されるツールをクリックすると、より詳細な情報を確認できます。
さらに、「IT導入事例」に該当のツールを利用した事例が登録されている場合は、ページ下部に、事例紹介ページへのリンクも表示されます。
実際にそのツールが事業者の方にどのように活用され、どのような効果が生まれたのかを知る事ができるため、自社で使用する場合のイメージが沸きやすいです。
このページ構成はユーザーにとても親切な設計で、使いやすいですね。
小規模事業者・中小企業のDX事例からツールを選ぶ
ここからアプリは、元々はデジタルツールを紹介する情報サイトとして2019年3月にスタートしましたが、2019年12月のリニューアル。
それに当たって、デジタルツールの紹介や検索機能の提供だけではなく、実際のツール導入事例や、デジタル化、DX、経営等の参考になる記事や支援サービス情報なども追加されました。
そして現在、ここからアプリは、デジタルツールの活用を通して経営を発展させていく、小規模事業者・中小企業のDXのためのポータルサイトと言っても良いほど、情報が充実しています。
特に、デジタルツールの導入事例をまとめた「IT導入事例」のページには、200件を超える事例が掲載されています。
これらの、小規模事業者・中小企業のDX事例から、自社の事業に合ったデジタルツールを探すこともできます。
事例紹介ページは、小規模事業者・中小企業の方は必見です。
DXの参考になる事例ばかりだと思います。
ほかにも、特集記事やデジタルツールにまつわる動画講座、支援事業の紹介、専門家とのチャット相談等など、機能や情報が盛りだくさんです。
内容も分かりやすく、丁寧に解説されているものばかりで、個人的にもおすすめしたいサービスです。
できる事、実際の活用方法を知って、自社にぴったりのツールを見つけよう
今回は、DXを推進するデジタルツールの選び方を、「IT戦略ナビ」「ここからアプリ」の使い方とともにご紹介しました。
デジタルツールで溢れる世の中ですが、「何が出来るのか?」「どのように活用されているのか?」をきちんと理解して、自社のビジネスに合ったツールを選定しましょう!
DX推進のための無料相談サービス
一般社団法人DX NEXT TOHOKUでは、組織のDX推進を支援するための無料相談・分析サービスを行っています。
「DXに取り組みたいけど何から手を付けてよいか分からない」、「DXに取り組んでいるが思うように進まない」等、DXに関するお悩みをお持ちの方、ぜひお申込みください。
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