この度、一般社団法人DX NEXT TOHOKU創立を記念したイベントの第1弾として、2021年4月12日(月)にオンラインイベント「DX Conference TOHOKU 2021」を開催いたしました。東北や首都圏の事業者様、自治体様など、同時接続で180名、翌日集計で530名以上の方にご参加いただきました。 同時接続で180名、翌日集計で530名以上の方にご参加いただきました。 レポートの最後に、入会希望者状況とアンケート結果を記載しておりますのでご覧ください。
ご挨拶
当イベントではまず、設立の経緯、趣意、組織説明について、当法人理事代表 阿部より冒頭の挨拶をいたしました。
東北地方では人口の減少割合が大きいことに加え、高齢化率は全国に比べて増加傾向にあります。そんな中、持続可能な活気あふれる社会をどうつくっていくのか。我々の強みであるDX推進スキルを活かして東北から発信していきたいという思いから一般社団法人を設立した旨をお話しいたしました。
続いて主賓としてご挨拶をいただいた経済産業省・東北経済産業局局長 渡邉様からは、「人口減少等の社会課題に加え、コロナ禍における観光業、飲食業など中心に厳しい事業環境になっている。社会の変化に直面する様々な課題に対応していくために、市場の働き方変化の先取りが必要であり、新たな付加価値を生み出すDXの重要性、そしてこのDXを東北全体で推進するために先陣きって設立した一般社団法人DX NEXT TOHOKUに大きく期待している。」と、激励のお言葉をいただきました。
DX NEXT TOHOKU とは?
次に、当法人の発起人でもあり、理事・事務局長を務める淡路(株式会社コー・ワークス代表取締役)から、一般社団法人DX NEXT TOHOKUをどのような経緯や想いで設立したのかについて、東北を取り巻く課題や当法人が掲げるミッション・ビジョンも含め説明いたしました。また、どのようなコンセプトで組織を設計したか、どのような制度を導入して組織を運営していくのかについてもお話しいたしました。
- DXとは『未来に通用するビジネスを創る』ための手段であると定義
- この組織では少子高齢化による弊害を現実として捉えた上で「人口が減っても豊かで幸せな未来を創る」というミッションをあえて掲げ、未来を担う次世代により良い社会を繋ぐために、3つのビジョンを定義することを宣言
- 「社員が減っても売り上げが下がらない」
- 「地域課題を産学官が連携して解決する」
- 「下請け偏重が強い東北産業界にクリエイティビティを付与する」
- これらを達成出来る素地、エコシステムを作るべく、DXを推進するためのケイパビリティを持つ企業が集まり、DX推進プロフェッショナル集団として、東北の自治体や企業のために一気通貫でサービス提供するのがこの組織の設立趣意である
- 東北でDXを推進したい自治体や企業が相談する受け皿となる組織を目指す
DX NEXT TOHOKU が標榜するDXとは?
『DX NEXT TOHOKUが標榜するDXとは?』と題し、当法人理事の福留が登壇いたしました。
なぜ東北の地域・企業にDXが必要なのか、どのようにやりきればよいのか方向性について、Amazonなどの事例を交えながら本質的なDXの説明をいたしました。
DX推進をどこか遠い未来のこと、アメリカや首都圏だけで流行っている言葉と他人事に捉え、危機意識をもって取り組まなければどうなってしまうのか、10年後の絵姿を将棋の戦法に例えた4つのパターンを提示し、視聴者よりとてもイメージしやすかったと意見が寄せられました。
【10年後の絵姿】
『①何にもしない場合』
「②あえて無視する戦略(穴熊囲い戦法)」
「③テーマ特価でDXを実施する(居飛車・奇襲戦法)」
「④DXを実施(振り飛車戦法)戦略」
基調講演
続いて、DX業界の最前線でご活躍されている3名の方に基調講演をいただきました。
01 : DXで変わる〜地域DXがもたらす未来〜
一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会(JDX)代表理事 森戸様より『DXで変わる地域DXがもたらす未来』と題しまして、地域DXの推進について講演いただきました。事例として、シェアリングエコノミー、シェアリングサミット、シェアリングシティ等について、「持続可能な地域課題を解決するために、地域を活性化したいと本気で感じておられる自治体様、自らが手を挙げる形で参入できる形式をとっている。縦割りで組織を限定しないことで、生まれた相乗効果がいくつもある。」ということを紹介いただきました。
また、地方都市がDXを実現する4つの手法と考え方では、データで環境変化に対応できる企業体質を実現できる、デジタル社会ならではの臨機応変な事業展開ができる強みを活かせるのではないか、と大変面白いお話をお伺いすることができました。
02 : DXの本質に迫る〜企業DXのリアルな実像〜
2番目に基調講演いただいた株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役、SBIホールディングス 社外取締役 鈴木様には、『DXの本質に迫る~企業DXのリアルな実像~』と題しまして、企業DXの実情とアプローチで民間DXの推進における企業なリアルな実情について講演いただきました。
デジタル変革には、経営者の覚悟が必須であり、これまでのIT推進と同一の枠組みでは図れないこと。デジタル『改善』とデジタル『改革』は、見据える未来、アプローチの仕方、姿勢、人材が異なり、民間DXを推進するうえでの根本的に違う、ということについて、分かりやすく説明いただきました。DX推進には、一歩ずつステップアップすることが重要であり、経営者が意識を変え、全社一丸になって取り組むことの必要性を講演いただきました。
03 : DXベンダーのチャレンジ事例〜ロールモデルから学ぶDX推進のポイント〜
最後に基調講演いただいた株式会社トライポッドワークス 代表取締役 佐々木様からは、『DXベンダーのチャレンジ事例~ロールモデルから学ぶDX推進のポイント~』と題して、DXベンダーとしてチャレンジしたDXロールモデル事例をご講演いただきました。
自動車関連企業様とのオープンイノベーションを活用したDXにおいて、実証実験からサービス展開まで一気通貫でテクノロジー面を支えるパートナーとなる思考をしているというトライポッドワークス様のビジネスモデルには、東北の地域ITベンダー企業様より「きっかけなど具体的なお話をいただき、身近に感じた。非常に勉強になりました」との声が寄せられました。
パネルディスカッション「DXが創る未来について」
有識者3名による基調講演後には、当法人の理事 福留をファシリテータとして、 トークテーマ“東北”にフォーカスしてディスカッションいたしました。
地域軸として東北を置いたとき、東北の取り組みの姿勢や良さを残しながら、東北を飛び越える地域にとらわれない取り組みの割合のバランス、デジタルだからこそ日本という軸で考えることが必要なのでは?と、議論されました。一方で、東北であるからこそ、もともと少子高齢化の上に10年前に震災がおき、全国に比べて先取りして社会課題が浮き彫りになっている点をあえて強みとして捉え、そこにフォーカスして取り組むことができるのではないか。東北でしかできない取り組みを全国に向けて打ち出してほしい、全国のモデルになってほしい。と意見交換されました。
委員会活動のご紹介
概要
パネルディスカッション後は、会員制度、各委員会の設置・運営基準などの指針について、当法人の理事 伊藤が発表いたしました。委員会活動において、委員長、副委員長を設置した上で「事業共創委員会」「産学官連携委員会」「資格制度構築委員会」「人材開発委員会」そして、各委員会の活動状況の把握と今後の活動指針の意思決定を行う「運営委員会」の5委員会の設置と具体的な委員会毎の活動を各幅・拡充する旨を説明いたしました。
具体的な各委員会のコンセプトを述べたうえで、DX NEXT TOHOKU(DNT)では、東北のデジタルトランスフォーメーションをけん引してくれる仲間を募集していること。入会後には、会員専用のサービスが受けられるようになり、DNTが事務局となり、会員同士の連携強化を図り、東北のDX加速を図るようにしていくことをお話ししました。
事業共創委員会
続いて、事業共創委員会副委員長を務める粟野が登壇しました。「DXは自分たちの変革であり主導し取り組むべき内容である。圧倒的なスピードと自らの改革を実現していくためにも、DXは内製するのが大前提となる。」と事業共創の考え方を述べたうえで、以下4つのサービスを展開することを発表しました。
- ① DXに対する理解を深めて頂けるようなセミナーを主催、提案するためのDXセミナー
- ② 企業のDXに関する総合問い合わせ窓口の開設
- ③ DXの体制を整える第一歩として、簡易診断の提供
- ④ 企業のDX推進に必要となる各種サービスの提供
産学官連携委員会
産学官連携委員会委員長を務める菅野は、防災・防犯、健康・医療・福祉、交通・まちづくり、環境・エネルギー、そして地域の民間企業の活性化、産業振興といった自治体が持つ各機能おいて、少子高齢化が起因の地域課題が内在していること。そして、今回はこれらをDXという共通概念のもと、産学官が一体になった取り組み、ハカッソン型の連携の例などをあげ、チャレンジする意欲を述べました。
資格制度構築委員会
当法人のエバンジェリストでもある志子田は、資格制度構築委員会委員長として、「組織の中で課題と向き合い、社内外を巻き込みながら変革を力強く推進できる人材の育成を目指す。」と述べ、そこを目指すためにも幅広くDXの概念を理解する「DXセミナー」の開催、DXの基礎知識から業務への実装まで幅広く学ぶことができる「DX認定制度」を構築することをお話いたしました。本年度はDX関連セミナーとDX研修を実施していくことと平行し、学術的に有識者の意見を取り入れながら、2022年にはDX認定試験を開始するスケジュールになります。
人材開発委員会
人材開発委員会委員長を務める櫻井は、DX時代に必須となる考え方やスキルを身に付けた組織と人材を輩出することで、東北全体を変えていく意気込みを述べ、先端技術に特化したセミナーの実施や、企業、大学や高等専門学校と連携したコミュニティ作り DXベンダー×学生×企業のBizDevを前提としたPBLの促進と、若者の底上げを図るとしました。
閉会挨拶
各委員会の活動発表を終えた後は、当法人監事の伊東より「昨今、DXという言葉が広く取り扱われる中、どのような取り組みが必要か迷っている地域・企業が多い現状、今回のイベントで各委員会の活動、決意表明の発表を通して具体的に何を取り組んでいく団体なのかイメージしていただけたのではないか。
今後、当法人はICT企業と結びつき、行政とも通じ地域とつながる中で、お客様が個々にもっている課題、地域課題の解決に向かって進んでいく活動を展開する組織として本イベントを通じて伝われば喜ばしい。」という言葉をもって、閉会の挨拶とさせていただきました。
入会希望者状況とアンケート結果
イベント後、現在の入会希望者の状況とイベントアンケート結果をご報告いたします。(2021年4月23日時点)
入会希望者状況
- 民間企業等、入会者・入会手続き中 :10社
- 民間企業等、入会希望者・入会検討社 : 25社
今後、一般社団法人DX NEXT TOHOKUでは、東北経済産業局様はじめ、東北6県の自治体様等、地域同士の連携。会員同士の連携強化を図ります。具体的に会員様には、発表している各委員会へ所属していただくことを前提とし、その組織内で以下4点の実現を目指し、活動を進めます。
- 1) 社会・市場と会員企業が必要とする価値を提供できる場を創り出し、結果を出す
- 2) 会員企業がそれぞれの強みを活かせること
- 3) 会員企業の実業に対して良いインパクトがあること
- 4) 当法人の一般社団法人としての強みを活かせること
イベントアンケート結果
イベント後、アンケート集計結果55名。
その他寄せられたコメント(一部抜粋)
- 「DX」人材を育成して、日本の、世界に羽ばたく若い世代の活躍に期待する。
- 地元他団体(MISA、META、MIITOS等)との交流などの予定あるか。
- DXのアイディア、商材があるので拡販を支援頂きたい。
- 地方自治体の導入のキッカケを作りたい
- 若い世代の積極的な活動に期待しています。
- DXを進める手順や費用等の紹介
- 顧客に対するDXの推進・提案の仕方について。
- 連携した活動をしたいDXを導入する上での、コスト面を相談したい
- 今回のカンファレンスで、DX NEXT TOHOKU がヒアリングや顧客のビジネスモデルに即した提案を重視していることがわかったため、マスコミの宣伝に便乗して持論の押し売りをしがちなITコンサルとは違うということはわかりました。さらに、エンジニアが搾取されることなく、本当に意味のある、やりがいのある仕事をすることができるのだろうな、と思いました。
- DX推進プロセス、成功の勘所をより深くご教示いただきたいです。
- もう少しDXについて理解を深めたい
- 今後、広くDXの必要性や意味合い、効果等について理解者を増やすべく検討したい
- このままいくと、DXも関東以西に対して周回遅れとなる。(もうなっている?)この法人の取り組みにより、少しでもそうならないために貢献できると良い。
- 東北地区での取り組み推進の意欲が感じられて、部門内でも検討をしたいと考えるきっかけとなりました。
- DX推進の成功例、事例紹介のセミナーを開催して欲しい。
- 地域・企業含めDX化への実現に向けて支援していきたいが、何処から何を実現すべきかが分からなく模索中です。その背景としては、DX化の実現と費用対効果。DX化予算を確保する際、その効果を求められるが、そもそもDXに必要なデータ収集・分析してみないと分からないケースが多く、費用対効果を前提になると、初期投資負担を強いられる。
- シェアスキルや東北エリアでのDXやMarketingの情報発信について、強く共感いたします。同じ志や熱量を持った方々がいらっしゃる事と自分自身で売上等を開拓する力があるような方々(他力本願や受け身ではない)やそれに準じた事が考えられる方々ぜひご一緒したいと考えております。
- 東北におけるDX導入成功事例等があればぜひ勉強させていただきたいです。
- DXの推進を指示されているが講演会でも出た通りどのように進めたら良いか具体策がない。
- 地域企業や大学との連携に非常に期待する。
- 自治体DX、民間DXなどあるが、どのDXから具体的に実施するか
- DXを推進するプロセスについて教えて欲しい、DXを推進できる人材を育成したい
- DXをフックにした課題解決支援策について検討したい。また,自分も含め,社内にDXを理解した人材を育成していきたい。